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otak.ayan Part3

takayanの「オタク」部分に関する記事を掲載します。過去にアキバ系SNS「Filn」に掲載した「オタク系」記事の一部も転載しています。

いまのフィールドでの「嵩夜あや作品」の限界点が見えた――「機関幕末異聞 ラストキャバリエ」の感想から

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いまのフィールドでの「嵩夜あや作品」の限界点が見えた――「機関幕末異聞 ラストキャバリエ」の感想から

 こういう取り上げ方をせざるを得ないのは個人的には大変残念なのですが……
(「ネタバレ」ありのため、以下「続きを読む」にてどうぞ)



期待していた「機関幕末異聞 ラストキャバリエ」なのですが、残念ながら評価は「いま一つ」というところで固まりつつあるようです。先頃ツイートされたこの意見が、その評価の理由を正確に捉えているように思われるので、取り上げさせていただきます。




 以上前文。「70点」というのは、「いま一つ」の下限の点数、と私は捉えています。すなわち、制作者側にとってはかなり厳しい評価。




 最初に「ことばの定義と使い方」の問題が出てきてしまいました。これは嵩夜氏ではなく広報・営業の問題なので、ものすごくかわいそうなのですが。
 具体的には、「サブヒロイン」と「サブキャラクター」という二つの言葉をどうやって使い分けるべきか、ということになります。一般的な使われ方は、ヨシキ氏の言うように「サブヒロイン」=えっちシーンあり、「サブキャラ」=えっちシーンなし、ということでよろしいかと思うのですが、ブランド公式サイトでのキャラクター紹介は、そういう基準でなされてはいませんでした。




 二番目は、「ルート推奨順」の問題。一般的に「ルート推奨順」が問題になるのは、「その順番でないとストーリー構成が崩れるので必然的に」という場合なのですが、そうではない場合にもこの問題が起こるときがあります。「ルートによって振れ幅が大きく、かつあまりにも特定キャラクターの扱いが異なりすぎる場合」がそれです。いずれにせよ、一定の段階まではルート固定で進められることが多いものですが、この作品ではそういう設定はされていませんでした。公式サイトのブログに攻略チャートのPDFが掲載されていましたが、残念ながらそれでは不足だったわけです。
※ただし、「ルート固定」にも弱点があって、それは「このキャラを最後にやりたかったのに最初とか許せない」という層が一定量発生することが避けられない点です。




 これは「18禁美少女ゲームにおいては」嵩夜氏独特の問題、といっていいと思います。今回も嵩夜氏は、テックジャイアン誌の2016年1月号で

「今回は大河ドラマ風の群像劇テイストなので」

と発言されているのですが、公式サイトにそれが反映されることはありませんでした。
 嵩夜氏の作品は、特に「処女はお姉さまに恋してる~2人のエルダー」以降、この「群像劇」テイストの作品が続いているのですが、今回はなにより主人公をいろいろな歴史上の人物のそばに「降ろした」作品、すなわち話が終始「主人公視点」で進む(かつ二つめの指摘事項である「振れ幅の大きさ」には「ルート固定」で対応した)「忠臣蔵46+1」との比較になってしまったため、嵩夜氏にとって大変不幸な結果になってしまったことは否めません。
 嵩夜氏の作品が「人を選ぶ」理由は、難しい言葉や蘊蓄の多いテキストにある、とよく言われますが、実はそれよりも遥かに「群像劇」としての理解が必要な部分にこそその理由があるのではないか、と私は「処女はお姉さまに恋してる~2人のエルダー」のときから考えていました。今回の作品は、他の歴史モノ作品との比較を通して、そのことをより際立たせてしまった、と言えるでしょう。




 「ヨシキ」氏は感想ツイートをこう終わらせていますが、これは「制作陣の皆さま お疲れさま」以上の意味は持ち得ません。彼の感想ツイートが明らかにしたのは、「(男性向け)18禁美少女ゲーム」のユーザーの多くが欲していることは、「群像劇なんか見たくない。主人公の物語を見せてくれ」ということと、「夢がないルートがあってもいいが、最後には夢が見られる作品であってくれ(むしろ夢がないなら徹底的に夢がない作品にしてくれ。中途半端は嫌だ)」ということになるのかと。




 ここまで書いてきて得られる残念な結論は以下の通り。

 「嵩夜あや氏は、いまの執筆スタイルで、《(男性向け)18禁美少女ゲーム》の世界において生き残るのは非常に難しいのではないか」ということです。むしろ、嵩夜あや氏には「まったく新しい舞台」を目指して欲しい。それは、《(女性向け)18禁美少女ゲーム》の世界です。女性なら、「群像劇」にも慣れていますし、むしろ雰囲気作りとテキストとで堂々と勝負できる(ただしシナリオ評価は男性より厳しいので、そこだけは心してかかる必要があるが)。すなわち、いまの執筆スタイルでもかなり歓迎してもらえる可能性が高い、そう見るからです。そして、現在の「キャラメルBOX/ホビボックス」がそれを認めないというなら、新天地を見つけるしかない、とも。
※もちろん、(男性向け)(女性向け)という「性別により向き不向きが決まる」分類法が有効だ、とは思っていません。しかしながら、世間がまだそういう体制でコンテンツを扱ってしまうのは事実であり、それゆえの不幸、でもあるわけです。だからこそ、嵩夜あや氏の作品を広報・営業する人間は、彼の特性をよく把握した上で、どうやってより多くの「女性」に嵩夜あや作品を理解してもらい、「面白そう」と思ってもらえるか、そのための創意工夫を常に考えていかなければならないのです。逆に言えば、それができるスタッフのいない場所で彼が作品を紡ぎ続けることは、その不幸がずっとつきまとうことにほかならないのです。

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