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otak.ayan Part3

takayanの「オタク」部分に関する記事を掲載します。過去にアキバ系SNS「Filn」に掲載した「オタク系」記事の一部も転載しています。

【重要】カルチャーって、楽しめばいいだけのものじゃない。――その維持のために「批評」こそ必要だ、ということについて

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【重要】カルチャーって、楽しめばいいだけのものじゃない。――その維持のために「批評」こそ必要だ、ということについて

 先日、こんなツイート

をしたところ、こんな反応

適切な批評で売れるべき本が売れるなら死にものぐるいで適切に批評していただきたい。

があったようで。そこのわからない人のために、あるジャンルでどういうことが起きたかを例示しながら、(続きで)解説しておきますね。


 1970年代後半から1980年代序盤にかけて、「歌謡曲」は歌謡ポップス、ニューミュージック、演歌、時には洋楽まで取り込んで、様々な人が様々な音楽を楽しむことができる、「カルチャー(サブカルですが)」としての隆盛期を迎えたんですね。この頃には「批評」をしっかりできる人が表に出て主張していました。ニッポン放送「不二家歌謡ベストテン」の(故)ロイ・ジェームズ氏しかり、ラジオ関東(現・アールエフラジオ日本)「歌謡曲只今ヒット中!」の音楽評論家三氏((故)阿子島たけし、伊藤強、中根幸夫=五十音順)しかり。エフエム東京「コーセー歌謡ベスト10」の作曲家(故)宮川泰氏や、文化放送「決定!全日本歌謡選抜」の小川哲哉氏あたりも一家言持っていました。東京放送(TBSラジオ)には作曲家「森田公一の青春ベストテン」もありました。ヒットチャート番組が、単なるヒットチャートを垂れ流しする番組ではなく、作る側、聴く側双方から、その「質」を見張ることができていたんですね。

 ところがどうでしょう。「歌謡曲只今ヒット中!」がなくなり、ロイ・ジェームズ氏も故人となり……1984年には私が「軽薄曲ばやり」と呼んだ質の低下がはじまり……やがて90年代にはいり小川哲哉氏が第一線から引くと、もう惨憺たる有り様になりました。それに呼応するように、「カルチャー(サブカルですが)」であるところの「歌謡曲」分野に「マーケティング」の考え方を取り入れていわゆる「脱・水商売」する、という考え方の人たちが現れ、それ以降(単発の「ネタ」ものを除いて)「国民的ヒットソング」は生まれていない、という状態に陥っていると言っていいと思います。

 最終的に「歌謡曲」界にとって致命傷になりそうなのは、某超多人数アイドルグループ系のいわゆる「焼き畑農業」的プロモーションです。「焼き畑農業」は、最初の数年は収量がいいのですが、だんだん土地がやせ細っていき、その後は長い休耕期間をおく必要があります。農業で代替農地があるならそれでもいいのですが、ことジャンルに「継続」が必要なカルチャー分野で、何も生産されない状態が継続されることは、そのジャンルの「死」を意味することにほかなりません。新天地を求め、新グループを作り続ける某超多人数アイドルグループ系ですが、当然のことながら新天地が無限に存在するわけもなく、そう長くは続かないでしょう。そして、その売り上げに半ば頼るその業界の行方も。

 他方、本の世界は、文学賞もたくさんありますし、仲介者としての書店員が選ぶ「本屋大賞」も、昨今その機能が弱くなったと言われつつも継続されています。読む側からの批評も巷にあふれています。そのためのポータルサイトもしっかり機能しています。「ゴーストライター」の描く世界は、純粋に「売れる本だけが必要だ」とする「カルチャーの送り出し人として失格」な出版編集者と、作家およびそのゴーストライターたちの世界ですが、実際にこんなことをしたら、「何かおかしくなっていないか?」という批評が飛び交うこと請け合いでしょう。

 「適切な批評で売れるべき本が売れる」かどうかについては、残念ながら「Yes」とは言えないかも知れません。少なくとも大きな影響力のある人がそう批評するか、あるいは同様の批評が数多く集まる必要があります。しかし、(一部宗教団体の、信者様が「お布施」としてたくさん買っていく本を除いて)「こんな本、売れなくてもいいのに」という本が必要以上に売れることを防ぎ、送り出す側に好き勝手にさせることを阻んで良質なものの創出に励むことを促し、結果としてそのジャンルが根絶やしにされることを未然に防止する力を、「批評」というものは持っているのです。もちろん、ほかのカルチャー(ジャンル)にも同じことが言えます。適切な、すなわち「良質な」批評は、カルチャー(ジャンル)を維持するために絶対に必要な要素なのです。

追記:こういう記事が書けるようになったのも、「リツイート直後のツイートを表示するやつ」という便利なツールサイトができたおかげです。心から感謝します。

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