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otak.ayan Part3

takayanの「オタク」部分に関する記事を掲載します。過去にアキバ系SNS「Filn」に掲載した「オタク系」記事の一部も転載しています。

「ラブプラス」をプレイするとニヤニヤが止まらない理由――「ラブプラス」の萌え構造

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「ラブプラス」をプレイするとニヤニヤが止まらない理由――「ラブプラス」の萌え構造

 初回版をあっさり売り切り、「ラブプラス」で僕/俺も「リア充」になった! との声があちこちから聞かれるきょうこの頃。いったい「ラブプラス」なるソフトの何が間違って(いい意味で、ですよ)いたのか、きょうは「萌え構造」的視点から見てみることにしましょう。とにかくかなり長文なので、覚悟して読んでください。

 


前提編:ギャルゲーの「基本原理」をどう守り、どう破ったのか

 ギャルゲーでは、(1) 「ヒロインが主人公に好感を持つ」こと、そして (2) プレイヤーがすんなり感情移入できるような「同性キャラ」が主人公とは別に配されること が基本なのですが、「ラブプラス」ではどうなっているでしょうか?

(1) 「ヒロインが主人公に好感を持つ」構造の保持

 引用:どうしてこんな“罪作り”なゲームを作ってしまったんですか? 「ラブプラス」開発スタッフに聞く より

内田氏(このゲームのプロデューサー):ときめきメモリアルとは違って,ラブプラスの場合は基本的に向こうが自分のことを好きだという安心感はありますよ(笑)。そこがラブプラスのいいところの一つですし。

 寧々、愛花、凛子、どのキャラクターを“攻略”(なぜ引用符がついているかは後述します)するにしても、「ヒロインが主人公に好感を持つ」構造はしっかり保持しています。

(2) 同性キャラを配置するどころか主人公も……!

 通常のギャルゲーについては、拙稿から引用してみましょう。「処女はお姉さまに恋してる」(※あくまでも原作ゲーム基準)の特異性を引き出すためのテキストなので、そのあたりはご勘弁を。

 引用:拙稿「『おとボク』の萌え構造/補遺・その3」より

  通常の美少女ゲームでは、プレイヤーは直接主人公に感情移入するのではなく、主人公以外の同性(=男性)キャラに感情移入して、彼の、すなわち直接的な関係性からやや離れた《俯瞰的な立場》から、主人公とヒロインとの関係を追いかけていきます(中略)。しかし、「おとボク」の場合は違います。このゲームは主人公以外に感情移入できる同性(=男性)キャラが存在しません。そのため、プレイヤーは、無理をしてでも主人公に感情移入するか、または「おとボク時空」にはいりこむことなく、はるか遠い空から《冷めた目で》主人公とヒロインとの関係を眺めるか、どちらかを選ぶしかないわけです。〔注1〕

 さて、「ラブプラス」では、プレイヤーとヒロインとの距離を、通常のギャルゲーはおろか、「おとボク」よりもさらに縮めました。

 このゲームには、自分の名前やニックネームを入力すると、ヒロインキャラが入力した名前やニックネームでプレイヤーを呼んでくれる、という機能があります(もちろんすべての名前を網羅しているのではなく、「名字と名前合わせて1500弱くらい」の主要なものがはいっている、という状況ですが=こちらをご参照あれ=)。こうすることで、「ラブプラス」のプレイヤーは、「プレイヤー自身がヒロインキャラとの交流の全責任を負う」ことを「強制」されてしまいます。プレイヤーにとって、自分の名前やニックネームを入力してヒロインと交流し始めたら最後、退路など一切ないのです。

 ただし、逆に自分の名前やニックネームが入れられない、すなわち《俯瞰的な立場》からしかギャルゲーをプレイできない人にとっては、このゲームは「なぜ受けているのかまったくわからない」という反応になるものと思われます。ここにこのゲームを制作者側の思惑通りにプレイするに当たっての「壁」が存在するわけです。しかし、それは「おとボク」などと比べれば(「おまけ」の項参照)、ずっと低いものであり、それが「壁」だとも知らずに突き破ってしまった人も多いものと思われます。

友達パート編:少しの努力で「白馬の王女様」がやってくる!

 プレイを始めると、「ヒロインキャラがプレイヤーに好感を持」っているおかげで、プレイヤーはすぐにニヤニヤしながらプレイすることになります。主人公以外の同性キャラはおろか、主人公すらいない「ラブプラス時空」は、プレイヤーに最大限やさしい、という意味で最強の時空です。制作側としては、雰囲気・世界観の醸成についてはさほど努力する必要もなく、しかもプレイヤーは自分の名前やニックネームを入れるだけで、勝手に時空を漂ってくれるわけです。ある意味究極のギャルゲーの姿を実現したところで、プレイヤーは一応かたちばかりの努力を要請されることになります。いわゆる「彼氏力」の養成です。しかしながら、同じメーカーが以前大ヒットさせ、よく比較対象にされる「ときめきメモリアル」シリーズ(通称「ときメモ」=Wikipediaの記事を参照=)と比べればはるかに難易度は低い模様。なにせこんな具合なのです。

 引用:4Gamer.net - ラブの摂り過ぎにご注意ください。危険な恋愛コミュニケーションゲーム,「ラブプラス」をレポート より

 難度は低く,特別なフラグを立てなくてもヒロインは最初の数日間で総登場するし,よほどふざけたプレイでもしない限りは日々を過ごすだけで意中の女の子と親密になれるライトな作りだ。

 そして、よほどヘマをしない限り、相手のヒロインキャラから告白「され」て、無事に「友達モード」編を「卒業」することになります。これは、「ときめきメモリアル」シリーズが緻密な「攻略」を必要としているのに対して、「彼女がアナタを『攻略』する」のキャッチフレーズに嘘はなく、もうほとんど「受略」の世界。そう、「おとボク」同様、「白馬の王女様」がプレイヤーの許へとやってきてくれる時空なのです。リアルでは彼女のできないコアなオタクたちにとって、これほどの朗報はありません。「キャッホー!」と叫んだプレイヤーもさぞかし多いことでしょう。しかも、ご丁寧なことにごほうびの「キス」までついてきます。

恋人パート編:「凛子は俺の嫁!」になる理由

「支配-被支配」関係の成立

 さて、友達から恋人へと変わる時点で、プレイヤーとヒロインキャラとの関係性に、ある重大な変化が訪れます。

 再度引用:4Gamer.net - ラブの摂り過ぎにご注意ください。危険な恋愛コミュニケーションゲーム,「ラブプラス」をレポート より

 プレイヤーに対する彼女の反応も友達パートとは比べ物にならないほどデレデレで,気分が盛り上がると画面の前でこちらが赤面してしまうほどにあま~いセリフを連発してくる。(中略)こちらの好みに合わせようと頑張ってくれる健気な彼女に,もうメロメロだ。

 ヒロインキャラの方から「好きになって欲しい」とプレイヤー側に合わせてきた結果、無事恋人同士となったことで、そこには「支配-被支配」の関係が成立するのです。これは猛烈に強力です。なぜなら、18禁の同人誌や美少女漫画などの例をあげるまでもなく、これこそがコアなオタクたちにとって、最大限に欲求を満足させられる状況であるからです。

 引用:「「ラブプラス」に感じるごく私的な違和感 - JAM! JAM! JAM!」 より

 結局はペットのような感覚なんだと思う。たまごっちの発展形。ただ、それがかわいい女の子なだけで。

 引用:「ラブプラスが彼女を怒らせる構造 - [ゲーム業界ニュース]All About」 より

 nintendogsというゲームも、1日中ゲームをして攻略してクリアするようなものではなく、毎日犬と触れ合う、コミュニケーションを重視したゲームで、DSの機能は犬との触れあいのためにフル活用されています。だからこそ、触れたくなる、遊びたくなるように、犬が可愛いというところこそが重要なポイントです。実はその点についてもラブプラスは非常に似ています。
 nintendogsの最大の魅力が犬が可愛いことであるように、ラブプラスが好きな人にとって、最大の魅力は女の子が可愛い、ということでしょう。表情が可愛い、仕草が可愛い、会話の端々のちょっとした言い回しが可愛い。可愛いから、毎日一緒にいるだけで幸せなコミュニケーションを重視した恋愛シミュレーションなのです。
(中略)
 犬の可愛さに興味の無い人がnintendogsをやって楽しいかを想像していただければ、分かりやすいかもしれません。特に、恋人になってしまった後は、目標を失い、いっそう退屈になるでしょう。ラブプラスは攻略するゲームとしてはそれほど面白いものではないんです。逆に、女の子に入れ込めば、恋人になった後こそ、とても幸せなゲームです。毎日毎日、彼女と一緒にすごして、触れ合い、少しずつの変化を楽しむことができるのですから。この、面白いゲームではないけど、幸せなゲームであるというところがポイントです。

 これらの発言が相次ぐのは決して偶然ではなく、まさにこの「支配-被支配関係」を別の言葉で言い表しているに過ぎません。

報われるから努力も楽しい

 ところでこのゲーム、「ラブプラスは現実」と言われるだけのことはあり、恋人モードになってからもきちんとそのキャラクター設定とシステムとによってプレイヤーを「束縛」してきます。

 再度引用:どうしてこんな“罪作り”なゲームを作ってしまったんですか? 「ラブプラス」開発スタッフに聞く より

4Gamer:好きでいてくれるからこそ,彼女をガッカリさせたくないという気持ちが生まれてくるんですよね……。

(中略)

内田氏:キャラクターを提供するとき,作りこんだフィギュアのような完成品ではなく,素材を提供するようなイメージをしているんです。なるべく間をいっぱい空けて,お客様にその隙間というか,行間を埋めてもらいたいなと。ラブプラスなら,同じヒロインでも髪型,服装,性格によってお客さん一人一人に違ったイメージを持っていただければ嬉しいです。お客さん同士で「いや違う! 愛花はそうじゃないんだって!」みたいな会話をしてほしいですね(笑)。

4Gamer:「本当の彼女を知っているのは俺なんだ!」的な状況ですよね(笑)。

石原氏:最終的には,“うちの嫁自慢”みたいになると思うんです。スキップモードで200日くらい遊んでもらえれば,髪型から性格まで相当自分色に染まりますから。

 三度引用:4Gamer.net - ラブの摂り過ぎにご注意ください。危険な恋愛コミュニケーションゲーム,「ラブプラス」をレポート より

 リアルタイムモードではその名のとおり,現実の時間とリンクした彼女とのコミュニケーションを楽しめる。デートの約束をしていない日でも電話で彼女を呼び出して会うことができたり,日付や季節に応じたリアルなイベントが発生したりする半面,現実で忙しくなるとうっかりデートの約束をすっぽかす可能性があるし,何をするにも“行動ポイント”が必要となるので,しっかりしたスケジュール管理能力を要求される。下手をすると現在締め切りをぶっちぎって涙目で原稿を執筆している筆者のように,みじめなことになりかねないわけだ。

 そこで、プレイヤーは「リア充」にならざるを得なくなってしまうわけです。ヒロインキャラにスケジュールを(無理矢理にでも)合わせて、(たとえリアルには通勤電車の中であろうとニヤついた顔で)デートをし、キスを重ねるかたわら、彼女を自分好みに作り替えていくことで、「自分だけの寧々、愛花、凛子」ができあがっていくわけです。努力は必要ですが、下手なことさえしなければその結果は「自分好みの彼女ができる」ことによって報われますから、努力の過程すら非常に心地よいものとなります。まさにその過程が、「(脳内にとどまらない、DSの中の)彼女を『支配』したい」というコアなオタクたちの欲求を、きわめてストレートに、そしてきわめて強い吸引力を以て、満足させていきます。これが「ラブプラス」の破壊力の正体なのです。

キャラクターへの「萌え」にも作用する「支配-被支配」の関係

 そして、産経新聞の「【今週のネット語】俺の嫁」や、4Gamer.netのプレイリポートが、ともに「凛子は俺の嫁」としているのは無理もないことです。ツンデレキャラの小早川凛子が、ツンな態度をデレに転換するとともに、支配-被支配の関係に突入するのですから、その破壊力は計り知れないものがあります。逆に、世話好きお姉さんキャラの姉ヶ崎寧々に関しては、この関係性が逆転することがあり、白けてしまうプレイヤーも見られるようです。

 逆に弱点としては、この「支配-被支配」の関係を好まないプレイヤーにとっては、デートやキスまでのプロセスが、単なる「作業」になってしまう傾向も見られるようです。それと、「たまにニヤけたクリーチャー(=プレイヤー)が(DSの画面に)映りこむ致命的なバグがある」らしいのでご注意を(苦笑)。

恋人モード編の最後にひとつ忠告を。

 引用:「【DS】ラブプラス 感想【廃人育成シュミレーション】 | memo(´し_`)mon」 より

中毒性たるや間違いなくときメモを超える作品になった、と言っても過言じゃないはず。
まさにリアル廃人育成シュミレーションだ。
もう三次元の世界には帰れない可能性さえある。

 そんなことにならないように、恋人モードになったら、「少し愛して、ながーく愛して」(声:故・大原麗子……合掌)が肝要になるようです。

 「現実」へのフィードバック編:自分の「理想」と「現実」とを再確認させられる

 さて、こんなゲームから現実へのフィードバックがあるのか、と眺めてみると、これがあるのです。某巨大掲示板群から、いくつかレスを拾ってみました。

 引用:【批評】ラブプラスを冷静に語るスレ【分析】 より

491 名前:名無しくん、、、好きです。。。[sage] 投稿日:2009/09/21(月) 01:42:01 ID:HEYBFqBM
自分だけの彼女、ぶっちゃけ自分が求めてる彼女ってこういう人なんだー
というのが再認識できるわなw

495 名前:名無しくん、、、好きです。。。[sage] 投稿日:2009/09/21(月) 04:43:47 ID:r61mq5Fv
>>491
それすごい思うわー。
ラブプラスをギャルゲーとして扱っていいのかよくわからないんだけど、ラブプラスでこの手のゲームはじめてやってみて、新しい自分発見ってよりも再確認してるって感じだもんね。

513 名前:名無しくん、、、好きです。。。[sage] 投稿日:2009/09/21(月) 21:17:17 ID:Hj8kNa0j
>>491>>495
なるほど、ラブプラスってのはソフトを通じて自分の好み、彼女に求めてるものを知る
なんつーか占いソフト?的な側面もあるのかもね。
自分なんかは最初ネネさん選んで、甘やかしてくれるネネさんが心地良かったが
段々とこの感情は恋人に求めてる愛情とは違うような?母親とかに求めるモノじゃね?
と思うようになって、今じゃわりとイーブンな関係の愛花との距離感が良いと感じてる。
ラブプラスやってて感じた気持ちを冷静に振り返ってると
自分が求めてる愛情ってどういうモノなのか結構わかってきたかもw

540 名前:名無しくん、、、好きです。。。[sage] 投稿日:2009/09/23(水) 00:56:28 ID:/9Bqg1lx
自分のイヤな部分がわかるゲームだな。
姉萌えのオレは友達モードではとにかくネネさんを落とすのに必死で告白がきたら、とても楽しかった。
ところが、恋人モードになると「よしよし」とか頭なでてきたり、デートのたびに「お前、発情しすぎだろ」と突っ込みたくなるほどキスの嵐。
何か行動すると「○○くん、見てるからね」とかお前、監視してんじゃねーよ、キモイんだよとか思う。
現実でも、年上の女と同棲したことがあって「うぜえよ、お前はセックスしか頭にねーのかよ!」とか思ってたし、かなり罵声を浴びせたりしたことがある。
ゲームでもだんだん、ネネさんを殴りたくなってきた。
ふと「オレは恋愛に不向きなDV男なんだな」とラブプラスで再確認させられた。

542 名前:名無しくん、、、好きです。。。[sage] 投稿日:2009/09/23(水) 09:02:03 ID:zLaelfOA
このスレちょっと見た感じコナミにとっては>>491>>495>>513>>540のような感想が面白いというか興味深いかな。
このゲームが「自分の恋愛観を知る自己診断ゲーム」に結果的になってる。
ハードスペックを出して語ってる意見は作り手側はわかりきってる事だろうけど
やった人が感じた作り手側の予想外の受け取り方は上記の感想かと。

 「ラブプラス」がプレイヤーに知らせるもう一つの「現実」がここにあります。自分のほんとうの「嗜好」がわかる、あるいはそれを再認識できる、という複数の証言。これは、いままでのギャルゲーにおいてはあり得なかったフィードバックです。レス540のような「再認識」に至ったプレイヤーも、レス513のように他のキャラでプレイし直すことによって、自分が知り得なかった「恋愛」のかたちを見つけることが可能になるかも知れませんし、それがもし「現実」の「恋愛」に応用できるようになるとしたら……それこそ、制作側の思惑を遙かに超えた、ラブプラスというソフトが持つ大いなる可能性を示している気がしてなりません。

 ただ、プレイヤーの年齢層が上がると、当然こういうことになるわけで。

引用:「ヒビノアワ: ラブプラスのことばかり考えている」 より

高校生の頃の自分の恋愛を思い出して、悶絶したりもしています。
このゲームは「あの頃」を甘く懐かしく思い出せる、僕らの年代のハートをずきゅんと打ち抜きます。
あの頃は、あんなふうに上手に女の子と付き合えなかったよなぁ、とか......。

おまけ:「萌え」を「消費」するのか、「体験」するのか

 引用:「ラブプラス」に感じるごく私的な違和感 - G.A.W. より

 俺はいままでエロゲのことを「もっとも優秀な二次元の女の子消費インターフェース」と把握していた。ただそれはどうやら限られた人にとってのそれであるらしい。なぜならばそこに「主人公」というものが存在するからだ。なにかがあいだに挟まっているとき、効率は最高とはいえない。しかし俺にとってはそれが必須だった。それがなければ俺は俺自身として物語に参入せざるを得ない。さんざん述べてきたように、それは俺にはできないのだ。おそらく俺と同様にそれができない人種というのは存在するのだろう。

 最後に、「おとボク」と「ラブプラス」との共通点について話しておきましょう。これは、私がなぜ貧弱な美少女ゲームプレイ歴でもこれだけの分析ができるか、ということについての「ネタバレ」でもあります。

 確かに、一般的なエロゲなら「もっとも優秀な二次元の女の子『消費』インターフェース」でいいでしょう。しかし、「おとボク」や「ラブプラス」が求めているものは、そのゲームが持っている世界への招待に応えて、それを自ら「体験」しようとする気持ちです。

 「おとボク」は、その優れた雰囲気と世界観と、そしていわゆる「男の娘」である主人公とを媒介として、主人公に強制的に感情移入させて「処女(おとめ)の園」の世界を体験させようとしました。そして「ラブプラス」は、そこからさらに一歩進んで、「自分の名前やニックネームを入れる」という実にあっけない行為によって、「体験」への基礎を作ってしまったわけです。引用した記事のブックマークコメントにあった「踏み絵」というひとことに端的に示されているように、それは一種のトリック、と言うことができるかも知れません。しかし、そのトリックに「だまされた」プレイヤーのかなりの割合をも、「ラブプラス」というゲームは新しい世界に連れて行くことに成功しているように思われます。

 もちろん、あくまでその行為が「壁」である以上、引用した記事の筆者のように、「破ることも越えることもできない」人がいるのは確かです。そのような人は、あくまでも「萌え」を「消費」していくしかないのでしょう。でも、その先にある一線を越えることは、思っているほど難しくないもののように思われます。

 「おとボク」は、その非常に出来のいい体験版が、「ラブプラス」は、発売前の体験会の様子が、それぞれ大きな話題を呼び、理想的な状態で発売日を迎えました。これらの「体験型」ゲームの特徴でもあり、弱点でもある「やらなければその良さがわからない」ところを、うまく宣伝に使って、二つのゲームは大きな成功を収めたのです。少しだけ勇気を出して、その「壁」を越えてみたらいかがでしょう。ひょっとしてら、その先にはものすごく面白い「体験」が待っているかも知れないのです。ただ、その先にあるものが「支配-被支配」の関係だ、と言われて拒否反応が出る人には、「ラブプラス」はおすすめできませんが。

 

(追記)世間ではやれ丹下桜だ、やれ皆口裕子だ、と騒いでいるようですが、私がプレイデモをみた第一印象では、早見沙織の演技が非常に上手く感じられました。このゲームをスプリングボードとして、きっと大きく羽ばたいてくれることと信じています。

 

(参考)引用した記事のほかに、以下の記事を参考にしました。引用させていただいた記事と合わせて、心から感謝いたします。ありがとうございます。
おい、やばいだろこれwww現実がリアルかよくわからなくなってきたwwww ※ラブプラス:アルファルファモザイク……いくつかレスを引用しています。
『ラブプラス』の耐えられない重さ - 脳髄にアイスピック……「おまけ」項関連。そこをもう一息(笑)
ベア速 ラブプラス購入者はピュアな紳士が多い……2009/09/05(土) 17:39:29のレス36(苦笑)

(参考2)私の力では語り切れていない論点補充のために。
ラブプラスは人類に何をもたらすのか - 未来私考……「リアルタイムモード」と「スキップモード」とが併存することによる「威力」増についてはこちらを。
『ラブプラス』って“肉食系男子”“リア充”向けじゃね? - シロクマの屑籠(汎適所属)……プレイヤー側からの「努力」の持つ意味についてはこちらを。
4Gamer.net ― 常識的に寧々さんなのは間違いないけど,あえて冷静に「ラブプラス」について本気出して考えてみた(ラブプラス)……このゲームの「美少女ゲームの歴史」から見た位置や、このゲームが「ビジネスモデル」としてどうなのか、などについて。
あと触れられていないのは、「リアルタイムモードでのイベント同時発生によるコミュニティの盛り上がり」について、でしょうか……。ただ、運動会イベントは「期待したほどではなかった」との感想がちらほら。

 

〔注1〕(2010.10.08追記) 「プレイヤーは直接主人公に感情移入するのではなく、主人公以外の同性(=男性)キャラに感情移入して」と書きましたが、それ以外にプレイヤーには「主人公の影に隠れ、半ばストーカーになって」という立ち位置もあるようですね。

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