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otak.ayan Part3

takayanの「オタク」部分に関する記事を掲載します。過去にアキバ系SNS「Filn」に掲載した「オタク系」記事の一部も転載しています。

さぁて、今回の「殴り合い」は?――「おとボク2」アニメ化に向けた課題

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さぁて、今回の「殴り合い」は?――「おとボク2」アニメ化に向けた課題

最近、「乙女はお姉さまに恋してる 2人のエルダー」(以下「おとボク2」)のアニメ化について、「全然続報が聞こえてこない」というつぶやきがあふれています。ついには「2結構楽しみにしてたんだけどやらないのか」などと言われ出す始末。そんなあなた方に、まずは前作の兄メカ(あえてこう書きます)に際して一部で大変有名となった「殴り合い」について、そのDVD限定版のライナーノーツから、どれだけ壮絶だったものか、抜き出しておきましょう。エロゲのアニメ化にあたっては、いろいろな困難があるのです。


アニメ化作品『乙女はお姉さまに恋してる』限定版のライナーノーツから「殴り合い」の抜き出し(いずれも原文ママ)

(1) キャラメルBOX(当時)エノモトさん
(前 略)今回のアニメ化にあたっては一応「ご意見番」という名の小姑として、色んな設定や脚本の確認、その後の毎週の収録等いろいろな場面に立ち会わさせてい ただきましたが、慣れたゲームの制作とはまた違う、アニメ製作ならではの押さえドコロのキモや諸々の苦労、それを打ち破ろうとする製作現場の方々の熱意を 見せていただいて、とてもとても良い勉強になりました。(中略)シリーズ構成(全体の脚本の大筋になる話の流れ)からのひたすらに粘着質な原作チェックも 「忍」の一文字で根気強くお付き合い頂き、さらにその後の毎回のさらに粘着質なあらすじ&脚本チェックにも良くもまあ堪忍袋の尾を切らさずにいた物だと思 います。アレはもうガチンコの殴り合いでしたからねー…。(遠い目)(中略)今回のアニメ化のお話を頂いてからは約2年。正式にゴーサインが出て、名和監 督を始めとするアニメ製作現場の方々と夕焼けに染まる利根川の河川敷で魂の殴り合いを始めてからは1年以上かかりましたが、アニメ版「おとボク」がみなさまに楽しんでいただけることを切に願います。(後略)

(2) シリーズ構成 長谷川勝己さん
(前略)キャラメルBOXご意見番の エノモトさま。夕焼けに染まる利根川の河川敷であなたに殴られた顎が、未だ夜ごとに疼きます。ウソです。エノモトさんにはゲームとアニメというメディアの 違いや、限られた放送話数による内容の短縮・改変などなど、実に前向きにご理解いただいたばかりか、時には素晴らしいアイデアまで頂戴し感謝の言葉もござ いません。(後略)

(3) 音響監督 ドリーム・フォース 榎本崇宏さん
(前略)さて、私が関わり始めた当初は伝説の利根川流血騒動等々、血を血で洗う抗争こそあったものの、そこは「漢」と書いて「オトコ」と呼ぶべき人種の集まり。かえって結束が固まるという素敵関係モードに突入し、以降は仲良しモードで現場は進行していきました。(後略)

(4) 監督 名和宗則さん
(前略)最後ともなると皆さんが語り尽くした後なのでネタが・・
いや、私も語らねばなるまい あの河川敷での闘いを
そもそも監督としての自分に求められている物の一つに、メーカーや製作現場との調和というものがあります。
自分としては「言葉」で語り合いたかったのですが、皆さん「拳」で語り合うのがお好きなようで(笑)
でも漢(おとこ)にとって「拳」は「言葉」以上に語る物、最後はみんな川っぺりに倒れ込み、空を見上げて「アハハハハ ・・・」(ツンデレラの王子様風)と笑いあったものです。(後略)

特に重要なのが、シリーズ構成の方が指摘されている「ゲームとアニメというメディアの違い」でして、「『おとボク』の萌え構造/補遺・その3」で触れているとおり、ゲーム作品では「主人公視点」で進む物語を、アニメ化するにあたって「第三者視点」に書き換えなければいけないこと、そのほかの要因も相まって「限られた放送話数による内容の短縮・改変」が大幅に行われたこと。「『おとボク』の萌え構造/補遺・その2」で も触れたキャラクター設定の大幅見直し、ついでに声優総入れ替えで某ユニット全員出演、という「おまけ」がついて、放送前から大紛糾。それゆえまったくと 言っていいほど注目されないうちに放送がスタートすることになりました。結果としては、「コアな萌えアニメファン」層に対する訴求にみごとに成功した結 果、それなりにDVDも売れたわけですが、二期(いまだに「おとボク」二期、と勘違いされている方もいらっしゃるようで……)が走るわけでもなく、あくま でも「それなり」の結果に終わってしまったわけです。

 

さて、その第一作の「壮大なファンディスク」とも呼ばれる「おとボク2」ですが、第一作とはかなり異なった作風になっています。それらについて、殴り合い要素の増減記号もつけて以下に挙げてみます。

(1) 「女装潜入体験記」から「女学院群像劇」に[↓]

前作は、プレイヤーに主人公視点を獲得してもらい(これが「前提」だったから「殴り合い」が大変なことになった)、「理想の処女(おとめ)の園」の雰囲 気・世界観をたっぷり味わってもらおう、ということだったのですが、今作は、外伝小説「櫻の園のエトワール」から受け継いだ「女学院での群像劇」に主人公 もともに巻き込まれる、という構造になっています。「群像劇」タイプのアニメ作品はここのところ増加傾向ですので、これはアニメ化においては好条件。あと は「俺たちに翼はない」(劣化「デュラララ!!」と呼ばれていたらしい)のように「劣化××」と言われないように気をつけるだけです。

(2) キャラクター設定が前作以上に「ステレオタイプ」を外している[↑]

いわゆる「キャラクター消費派」から、「(主人公の)千早以外軒並みダメ」とダメ出しされている状況があります。千早が合わなければ完全にアウト、という状況です。ここは大いに考えどころ。

(3) 「エロゲ原作」にもかかわらず、原作以上にエロ要素が少ない。[↑]

(4) (2) から導き出されることとして、メインとなるヒロインキャラを誰と置くか?[↑]

(5) 「千歳」の組み込み方[↑]

(6) (そして前作同様)メディアの違いに基づく視点の違い[→]

 

さあ、難問山積です……これでは「殴り合い」がひどくなるのも無理はありません。だから前作以上により「待たされる」ことになっているわけです。

 

第一部、完。

 


 

……本来なら、ここで終わっていたところですが、どうも今年になって新しい潮流が発生したようで。ここから第二部です。

 

私のところに飛び込んできた最新分析はこれ。Togetter - 「ゆるゆり」あかりんとちなつの対比や関係性萌えなどについて 

な、なんと、男性向けに作ったはずが女性に受けまくりの「TIGER & BUNNY」だけでなく、男女問わず話題のアニメ「魔法少女まどか☆マギカ」 や、そして堂々男性向けで話題の「ゆるゆり」まで、キャラクター間の「関係性」に注目が集まるようになってきた、という分析。前作ほど「雰囲気」「世界 観」が重視されず、むしろキャラクター間の「関係性」を通して各キャラクターを描くことを強化した「おとボク2」にとって、これ以上の追い風はありませ ん。まさに「待てば海路の日和あり」。ここは一気に、「殴り合い」の質を変える必要があります。

では、どうするのがよいのでしょうか? 先ほど取り上げた六つの要素のうち、すでに十分述べた(1)を除いて、この新しい流れに当てはめ、大胆に提案してみます。順番は、順序立てて語るために変更しています。

 

(6) (そして前作同様)メディアの違いに基づく視点の違い[↓]

原作が「群像劇」仕立てなので、前作より遙かに第三者視点にしやすくなっています。それでも、原作のテキストは千早一人称部分が多いので、ある程度の「翻訳」は必要。ただ、テキストが前作以上に丁寧なため、翻訳作業は比較的容易かと。

(2) キャラクター設定が前作以上に「ステレオタイプ」を外している[→]

「群像劇」として、会話を通してキャラクター間の「関係性」をあぶり出すことでキャラクターの魅力を描写していくことができれば、キャラクター設定はそれほど「ステレオタイプ」であることを意識しなくても良くなります([補足]参照)。ただし……

(4) (2) から導き出されることとして、メインとなるヒロインキャラを誰と置くか?[↑]

ここはある程度意識しておく必要があります。すなわち、ここが今回の「殴り合い」のメインフィールド。無難に薫子にするのか、PSP版での人気を買って初 音・優雨姉妹にするのか、華道部組(雅楽乃・淡雪)にして二人の関係性を最大限に利用するのか……このあたりが候補でしょう。もちろん、香織理回やケイリ 回は欲しいですけどね。そして、メインとなるキャラについては、ある程度ステレオタイプなキャラクターになるように設定を補正していくことになるでしょ う。

あとの二つですが、こうなると……

(3) 「エロゲ原作」にもかかわらず、原作以上にエロ要素が少ない。[↓]

これはもう思い切って「切り捨て」で行くことを全力で推奨したい。序盤の身体測定まではいいとして、それ以降はいっそのことエロ要素をきっぱり切り捨てて、関係性の描写に邁進するが吉、と思われます。どうしてもエロ要素を、という向きには、ただでさえ「胸袋乳袋」と酷評される制服があるのでそれで十分。パンチラとか一切不要ですからっ!

(5) 「千歳」の組み込み方[↑]

で、もうひとつの問題点「水泳授業」に絡めて、この人の扱いが「殴り合い」のサブフィールド。まさにそのイベントをどうするのかはある意味重要かも知れま せんが、ごまかし方はいろいろありますし、どうしても解決できない、と判断するならそれこそコミック版(「コンプエース」誌連載最新号=2011年10月 号)のように「夏休みにプールに行って楽しんじゃう」なら千歳さんは不要。あとは千早および史との関係性にだけ注目すれば良くなります。

 


 

……どうでしょう? 私の今の印象は、《「俄然やりやすくなった」「おとボク2」のアニメ化》といったところです。スタッフの皆さん、自信を持って、でも 「殴り合い」はしっかりやって、来年春(ぐらいですよね?)からのアニメ化作品放送に向けて、引き続き頑張ってください!

 

 

[補足] ステレオタイプなキャラクター設定の弱点:

「わかりやすい」が「奥深さがない」こと。

基本的には何かしらの「イベント」が発生して、それに対するリアクションに萌える、というパターンになる。

これをしっかり実行してしまったために、「おとボク」(前作)の兄メカ作品は「別もの」になってしまいました。

「群像劇」でキャラクター設定をややステレオタイプな方向に修正する場合、「関係性」描写にあたっては、たくさんの「心の声」によって、奥深さを出していく必要があります。

 


 

【※10/22追加】 じゃあ、どうすりゃいいのさ? とおっしゃられる趣もあるかと思います。そのような方のために、以下の文章をしたためましたので、ご一読いただけますと幸いです。企画書としてはちょっと長いですが……。

 

『乙女はお姉さまに恋してる 2人のエルダー』アニメ化に関する考え方(案)

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